ハンナの憂い

不妊治療中のクリスチャンのブログです。

デヴィ夫人「不妊の1番の原因は堕胎」発言

しばらく前のことなので、すでに多くの方がご指摘・ご批判されている中ではありますが、不妊の当事者からも声を上げたいと思います。

このような誤解をしている方がおられること自体ショックでしたし、こんな発言がメディアで放送され拡散されてしまったということもショックでした。

しかも不妊治療の保険適用についての話の時だったということで、不妊治療をしている方や、不妊治療を応援する社会のあり方について否定する文脈だったことも、極めて悲しかったポイントです。

決してデヴィ夫人個人を叩きたいわけではないのですが、デヴィ夫人知名度による発信力、影響力を考えると、誤解が広がってしまうのは困るなあと思うので書かせていただきます。

 

発言の問題点は大きく3つあります。

 

①事実誤認である点(不妊の原因の大半が中絶であるという誤解)

言わずもがな、不妊の原因は約半分が男性側、約半分が女性側にあり、原因不明の場合もあるため、大半の原因が中絶ということはありません。
私自身も、中絶を経験していませんが不妊です(そもそも妊娠したことがないので、中絶したことも当然ありません)。
不妊=中絶というのは完全に誤った認識なので、これが広まってしまうのは問題だと思います。

 

②中絶を経験した人・不妊の人の双方への差別を助長した点

 聖書的に見ればもちろん中絶は推奨はできないものの、様々な事情で中絶をせざるを得ない方々のことを裁く権利は私にはありません
「中絶したから不妊になったんだ」と、罪と罰の関係であるかのように語ることは、中絶を経験した女性のことも、不妊の女性のこともひどく傷つけ、差別を助長する行為だと思います。

 

 

不妊の女性への不信感を植え付けた点

不妊の女性は過去に中絶を経験したことをパートナーに言いにくいだろうから、そのことを隠しているに違いない、ということまで仰ったとのことです。 
これは、全国の不妊の女性を嘘つき呼ばわりしているのと同じことです。
検査を経ても明確な原因が分からずに苦しんでいる人たちも一定数いるのに(私もそうです)、その悩みは偽りだというのでしょうか。
ただでさえ多くの犠牲を払って不妊治療をしている方に対して、パートナーからの、また社会からの不信感を植え付けたことは大問題だと思います。

 

今回の発言は、誤った認識で、中絶を経験された方のことも、不妊の方のことも傷つける極めて悪質なものでした。

どうかこの誤解が広がってしまうことがないよう、放送を見た方も鵜呑みにせずに誤解が解かれるよう、願います。